どうなる?「共同親権」の展望
離婚したことで子供と会えない親が面会交流を求め、家庭裁判所に調停や審判を申し立てる件数が増加の一途をたどっているようです。
日本は離婚後に両親のどちらかが子供の親権者となる、先進国では数少ない「単独親権」制度を採用しており、「共同親権」制度を立法化する動きはありますが、なかなか進んでいないのが現状です。
片親による子の「連れ去り」による一番の被害者は子どもであり、これまでの議論には子ども目線が欠けていると言われています。
会えないことで愛情を受けられないと情緒が安定せず、その子どもだけでなく、次の世代にも影響をもたらしかねません。
世界では「単独親権」は少数派
東アジアの中で現時点で「単独親権」を規定し、父母双方でケアする共同親権を選択できないのは、モンゴル、北朝鮮、日本の三カ国だけです。
2019年2月には国連から再度、法改正を勧告され、2018年3月には欧州連合(EU)の二十六カ国からも書面で抗議を受けたことがあり、海外メディアは、片方の親による子の「連れ去り」や「引き離し」に対し、「日本は拉致大国」と報道しています。
超党派の国会議員連盟が共同親権の立法化を目指してはいるが「親子断絶防止法案」「共同養育支援法案」など、法案の名称の段階で迷走し、法制化のめどは立っていません。(-_-;)
共同親権と面会交流
面会交流の取り決めは共同親権の部分的な話だと思いますが、理不尽に子供と会えない期間を経験した身としては非常に大切なことと考えます。
家庭裁判所で子供との面会が取り決められたのに、回数が制限されたり、守られなかったりするケースは多いようですが、法的な罰則はありません。
そして別居する子供が面会を拒むケースも少なくないのです。それは子供自身の考えではなく、実際には同居親に気を使っていることも少なくありません。
子供が同居する親の影響を受けて顔色をうかがい、片方の別居親との交流を拒絶する状態を「片親疎外」といいます。これは親が子供を自分の思いで支配して服従させてしまう行為で、心理的虐待に該当します。
法務省は、安倍晋三首相の指示を受けて共同親権の導入可否の検討に入りました。
異論もまだ根強いですが、外務省を通じて7月末までに24カ国の制度を調査し、問題点を整理するとしています。
首相としては初めての見解で、ターニングポイント(転換点)になるという意見もあります。
ほとんどの子は離婚してほしくなかったと思いますし、別れて住む親への思慕の念を抱き続けているといいます。
もともと他人同士である夫婦の問題と、血のつながった親子の問題は切り離して考えなければいけないのは、当然のことだと前から思います。
別居後の面会が守られていないのであれば、その実現を義務付けるルールが必要です。